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これについて,製品が原価を消費するのではなく,製品の製造に必要な活動が原価を消費すると考えて,原価を発生させるさまざまな活動(アクティビティ)に着目して,場所別ではなく活動別に原価をとらえて間接費を製品に配賦したり,管理したりする考え方が主張されています。これが後の章で,戦略的コストマネジメントとして述べる活動基準原価計算(ABC)といわれるものです。4総合原価計算の特徴さて次に,総合原価計算の基本的な形態である単純総合原価計算の方法を取り上げて総合原価計算の特徴を説明することにしましょう。(1)単純総合原価計算の手続き単純総合原価計算は,単一の種類の製品を繰り返し連続的に見込生産する場合に適用されます。そこでは,1ヵ月の原価計算期間中に同じ製品が製造されるので,その一つひとつについて原価を計算するのではなく,1ヵ月の製造費用の総額を計算し,その期間の生産量で割って,製品の平均単価を計算します。これは,その期間に生産された製品はすべて同じ原価になるべきだという考え方に基づいています。月初に製造を新たに開始し,月末に製品がすべて完成した場合には,その月に発生した総製造費用がそのまま完成品原価となり,それを完成品数量で割れば,完成品単価は簡単に計算できます。しかし,連続した生産を,計算上,原価計算期間で区切るのですから,一般には,月末に完成品だけでなく仕掛品が存在します。製造費用は,完成品だけでなく月末仕掛品の製造に対しても発生していますから,期間の総製造費用を完成品原価部分と月末仕掛品原価部分とに按分した上で,完成品原価を完成品数量で割って完成品単価を計算します。ここで,月初に,前月から繰り越された仕掛品がある場合には,按分の基礎になる期間の総製造費用とは,月初仕掛品原価と当月製造費用の合計額ということになります。これを図示すると図表IV-4のようになります。本書では工業簿記の説明は省略していますが,これは簿記で原価計算の結果を記録する仕掛品勘定(製造勘定)の形式にもなっています。図の左の部分(簿記では借方といいます)力ゞ投入したインプット側の要素からみた原価の大きさであり,右の部分(簿記では貸方といいます)が産出されたアウトプット側の要素からみた按分された原価の大きさとなっています。総製造費用を按分計算するときに,完成品原価を直接に算定することもできますが,総合原価計算では慣習的に,月末仕掛品原価を按分計算してまず先に確定し,そして次式のように,総製造費用から月末仕掛品原価を差し引いて完成品原価を計算します。したがって,総合原価計算のポイントは,月末仕掛品原価の評価にあるといえます。完成品原価=明初仕掛品原価十当月製造費用)一月末仕掛品原価この按分計算にあたって,注意すべきことが2つあります。1つは按分の基準となる数量についてであり,もう1つは総製造費用か月初仕掛品原価と当月製造費用との二つの要素からなっているので,これらをどのように完成品原価と月末仕掛品原価の計算に反映させるかということです。まず按分の基準は,完成品と月末仕掛品の数量の割合によって行われますが,ここで重要なのは,すべての原価要素を同じ基準で按分するわけではなく,原価要素をまず直接材料費と加図表IV-4原価のインプットとアウトプットの関係仕掛品(製造)月初仕掛品原価完成品原価当月製造費用月末仕掛品原価工費とに区分し,それぞれ別の数量を基準に按分計算することです。これは,直接材料費と加工費とでは,生産現場での原価の発生の仕方が異なるからです。直接材料費は,材料が生産工程へ投入されるときに発生するのに対し,直接労務費と直接経費および製造間接費とからなる加工費は,加工の進行によって原価が発生すると考えられます。したがって,原価を按分するにあたって,この原価の発生の仕方を反映した計算をしなくてはなりません。加工費の場合は,完成品1単位と月末仕掛品1単位が等しい原価になるように計算することは正しい計算とはなりません。そこで仕掛品の分の原価については,完成品に換算した数量を按分計算の基準数量とするわけです。仕掛品数量の完成品数量への換算にあたっては,加工費については,仕掛品の加工の程度(作業進捗度)によって換算する必要があります。なお,材料について,生産工程の始点で投入されると仮定した場合には,完成品1単位と月末仕掛品1単位には同じだけの材料が含まれていると考えられるので,加工費の場合のように換算する必要はありません。しかし,工程の進行に応じて材料が徐々に投人されるような場合には,直接材料費の計算でも完成品1単位に対して仕掛品1単位に含まれる材料の数量の比率で仕掛品数量を完成品数量に換算する必要が出てきます。例えば今,簡単にするために月初仕掛品がない場合を考えると,材料が工程の始点で投入されると仮定して,当月の完成品が100個,月末仕掛品が20個でその作業進捗度が50%であったとしたら,当月の直接材料費は,完成品と月末仕掛品に100個対20個の比率で按分することになります。一方,当月の加工費は,100個対10個(20個X50%)の比率で按分することになります。さて,2つ目の問題は,月初仕掛品が存在する場合に生じます。当月の完成品原価は月初仕掛品原価と当月製造費用のどちらの原価部分に基づいて計算するかという考え方に,平均法,先入先出法,後入先出法の3つの考え方があります。それによって按分計算の計算式が異なり,計算結果も異なってくるのです。(2)月末仕舞ト品の評価方法前述のように,完成品原価を算定するのに先立って月末仕掛品原価が計算されます。完成品原価は,総製造費用から月末仕掛品原価を引いて求めます。実際の生産物の流れに着目すれば,月初仕掛品に追加加工が行われて先に完成品となり,新たに材料を投入して加工し完成品が作り出されて月末に完成していないものが月末仕掛品となるわけですが,前章の費目別計算の材料費のところでも説明したように,原価の計算は必ずしもその上モノの流れの通りの考え方で行われるわけではないことに注意してください。①平均法平均法は,月初仕掛品原価と当月製造費用を区別せずに,両者の合計が平均的に完成品と月末仕掛品とに按分されると考える方法です。これを図示すると図表IV-5のようになります。そして,次のような算式によって月末仕掛品原価が算定されます。月末仕掛品_月初仕掛品当月直接月末仕掛品量直接材料費 ̄(直接材料費十材料費)×完成品量十月末仕掛品量月末仕掛品_月初仕掛品当月月末仕掛品換算量加工費 ̄(加工費十加工費)×完成品量十月末仕掛品換算量②先入先出法先入先出法は,モノの流れと一致する考え方です。月初仕掛品に当月の加工が追加されて先に完成品になり,当月に新たにⅣ実際原価計算の諸方法図表IV―5平均法による評価方法#NAME?着手したものが完成品と月末仕掛品になります。したがって,月初仕掛品原価は,当月製造費用だけに基づいて計算されます。当月製造費用が関係するのは,完成品のうち月初仕掛品が完成した分を除いたものと月末仕掛品です。これは完成品原価を,より時価に近い数値にする効果があります。この方法では,月初仕掛品と月末仕掛品の(換算)数量の大小関係によって,2つの場合に分けて異なる算式が適用されることに注意してください。
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